上司や同僚との関係に消耗したら—社内・社外・公的窓口、今のあなたに合う相談先の選び方
上司や同僚との関係で消耗しているなら、まず相手を変えようとするより自分の消耗を減らすことを優先し、相性の疲れかハラスメントの疑いか、社内を信頼できるか、体調に影響が出ているかで相談先を選ぶとよい。社内に話しにくい場合は家族や友人、会社の社外相談窓口を、それでも難しければ総合労働相談コーナーやこころの耳のような公的窓口を使うという選択肢がある。
上司や同僚との関係に消耗しているなら、まず取り組むべきは相手を変えることではなく、自分の消耗を減らすことです。そのうえで相談先は、相性の疲れかハラスメントに近いか、社内を信頼できるか、心身への影響が出ているかによって変わるので、状況を確認してから選びましょう。
「相手を変える」より「消耗を減らす」を先に考える
合わない上司や同僚との関係に消耗しているとき、多くの人はまず相手の言動を変えようとします。しかし相手の性格や仕事の進め方を変えることは自分の努力だけでは難しく、変えようとする試みそのものが新たな消耗を生みます。先に取り組めるのは、自分がどれだけ消耗しているかを把握し、その消耗をこれ以上増やさないようにすることです。対人関係のストレスは、あなただけが抱えている特別な悩みではありません。厚生労働省の調査でも、対人関係は仕事の量や仕事の質と並んで、働く人が職業生活で強いストレスを感じる要因の上位に挙げられています。
まず、自分の状態を確認する
厚生労働省は、ストレスへの反応を次のように説明しています。
「ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応をストレス反応と言います」
こころの耳「ストレスとは」(厚生労働省)
反応は気分の落ち込みだけでなく、体の不調や日常の行動の変化として表れることもあります。
消耗のサインを確認する
- 心理面気分の落ち込みや不安、イライラ、やる気の低下として表れることがあります。
- 身体面頭痛や肩こり、腰痛、不眠、胃の不調として表れることがあります。
- 行動面お酒やたばこの量が増えたり、仕事でのミスやヒヤリハットが増えたりすることがあります。
厚生労働省が挙げる具体例は次のとおりです。
「活気の低下、イライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)」
こころの耳「ストレスとは」(厚生労働省)
「体のふしぶしの痛み、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢、不眠」
こころの耳「ストレスとは」(厚生労働省)
「飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットの増加」
こころの耳「ストレスとは」(厚生労働省)
これらのサインが一時的なものでなく、ある程度の期間を超えて続いているかどうかが、次の一歩を考える目安になります。厚生労働省は次のように述べています。
「以下のような症状が2週間以上続く場合には、「うつ」が疑われますので、専門家(精神科、心療内科)に早めに相談することをおすすめします。」
こころの耳「ストレスからくる病」(厚生労働省)
この記事は診断を行うものではありませんが、目安を知っておくことには意味があります。そして、一人で抱え込むことそのものにもコストがあります。
「自分で対応しきれない大きな問題を抱えた時には、自分ひとりで解決するにはかなりの時間と労力を要することになり、結果として心身の不調を招くことになりかねません。」
こころの耳「ストレスへの対処」(厚生労働省)
社内に相談する場合——上司・人事、そしてハラスメント相談窓口
単なる相性の疲れの範囲であれば、まずは信頼できる上司や人事に話してみることが選択肢になります。一方で、言動がハラスメントに近いと感じる場合は、社内のハラスメント相談窓口を使うという道もあります。企業には、こうした相談に応じ、適切に対応するための体制を整えることが求められており、相談窓口はそのために設けられています。
社内に話しづらいときの選択肢——家族・友人、そして会社が用意する社外の相談窓口
評価への影響を心配して社内窓口を使いづらい、あるいは社内の窓口そのものを信用できないという場合もあります。そのときは、まず家族や友人に話してみることも一つの方法です。また、企業によっては、社内窓口とは別に使える社外の相談窓口を用意している場合があります。厚生労働省も、企業に向けてこう述べています。
「社内相談窓口に相談することに抵抗のある従業員もいる可能性がありますので、社外相談窓口の設置についても併せて検討しましょう。相談の入口を複数設けることで、相談者に選択の余地が生まれ、相談に対するハードルが下がる効果が期待できます。」
厚生労働省「社内相談窓口設置までの流れとポイント」
自分の勤め先に社外相談窓口があるかどうかわからない場合は、人事や総務に確認してみましょう。窓口の存在を知らないまま、一人で抱え込んでいる人は少なくありません。厚生労働省の「あかるい職場応援団」は、社内の窓口が使いにくい場合について次のように案内しています。
「そんなときは、会社の外部にも利用できる相談窓口があります。」
厚生労働省「あかるい職場応援団 相談窓口のご案内」
公的な相談窓口という選択肢——総合労働相談コーナーとこころの耳
社内にも社外にも話しにくい、あるいは会社の窓口を経由したくないという場合は、公的な窓口を直接使うこともできます。総合労働相談コーナーは厚生労働省の窓口で、次のように案内されています。
「職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供をワンストップで行っています。」
厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
対象になる悩みの範囲は広く、「ハラスメントと言えるほどではない」と感じる段階の相談も対象です。
「解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象としています。」
厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
利用のハードルも高くありません。
「予約不要、ご利用は無料です。」
厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
社内に一切知られたくない場合は、こころの耳という選択肢もあります。
「こころの耳」では、全国の働く方やその家族、企業の人事労務担当者の方々からのご相談をお受けしています。」
こころの耳 相談窓口(厚生労働省)
「匿名で無料でご相談いただけます。」
こころの耳 相談窓口(厚生労働省)
状況別チェックリスト——あなたに今合う相談先はどれか
- まだ様子を見られる程度の相性の疲れで、社内に話しやすい相手がいるまずは信頼できる上司や人事に話してみる
- ハラスメントに近いと感じるが、社内の窓口を使うことに抵抗がある家族や友人に話す、または会社が用意する社外相談窓口を使う
- 社内の誰にも話したくない、または勤め先に相談窓口があるかわからない総合労働相談コーナーに相談する
- 会社にも社外にも知られず、まず話を聞いてほしいこころの耳を匿名で利用する
この記事でできないこと、と次の一歩
この記事は、今の状態が医学的にどう診断されるか、あるいは法的にハラスメントに該当するかを判断するものではありません。心身の不調が続いている場合や、ハラスメントに当たるかどうかの判断が必要な場合は、専門家や公的機関に相談してください。近くの相談窓口を探したいときは、こころの耳の相談窓口案内から探すことができます。
次にすること
- 今週のうちに心理面・身体面・行動面のサインを振り返り、続いている期間を確認する
- 話す相手を決める前に上のチェックリストで、社内・社外・公的窓口のどれが今の自分に合うかを確認する
よくあるご質問
上司や人事に相談すると評価が下がりそうで怖い。それでも社内窓口に相談すべき?
社内窓口だけが選択肢ではありません。厚生労働省の資料も、社内窓口に相談することに抵抗のある従業員のために社外の相談窓口をあわせて用意することを企業に勧めています。社内に話しにくいと感じるなら、家族や友人、会社が用意する社外相談窓口、あるいは総合労働相談コーナーのような公的窓口から始めても構いません。
「いじめ・嫌がらせ」と言えるほどではない気がする。それでも総合労働相談コーナーは使える?
使えます。総合労働相談コーナーは、解雇や配置転換、募集・採用からいじめ・嫌がらせ、パワハラまで、労働問題に関するあらゆる分野の相談を予約不要・無料で受け付けています。「大ごとかどうか」を自分で判断してから連絡先を絞り込む必要はありません。
会社の相談窓口と「こころの耳」は何が違う?
会社の相談窓口は自社の制度の範囲で対応するのに対し、こころの耳は厚生労働省が全国の働く方やその家族向けに提供している相談窓口で、匿名で相談できます。社内に一切知られたくない場合の選択肢として使えます。
消耗のサインが続いているとき、専門家への相談を考える目安はありますか?
この記事は診断を行うものではありませんが、心理面・身体面・行動面のサインが一時的なものでなく、ある程度の期間を超えて続いているかどうかが、次の一歩を考える目安になります。続いている場合は、精神科・心療内科などの専門家や、こころの耳の相談窓口に相談してください。
会社の外に、話せる場所を持っておく
United World Counseling では、仕事や職場の悩みについて、会社と利害関係のない相手に相談できます。まとまっていない状態のままで構いません。
仕事の悩みについて相談する