休職からの復職準備、会社に相談する前にできる5つのステップ
休職から復職に向けて会社に相談する前にできる準備は、生活リズムの記録→日中活動を増やす→休職要因の振り返り→主治医への相談→会社の復職基準の確認、という5つの手順で整理できます。焦って自己判断で進めると症状が再び悪化し休業が長引くことがあるため、各手順を順番に進めることが大切です。
休職から復職に向けて、会社に相談する前にまず一人で整理しておけることは、①生活リズムを記録する、②日中の活動を段階的に増やす、③休職に至った要因を振り返る、④主治医に見通しを相談する、⑤会社の復職基準を確認する、という5つの手順に沿って進めると整理しやすくなります。「何から手をつければいいか分からない」という状態は、焦りと停滞が同時に来ているだけで、順番が見えれば動けるようになります。
「何から始めればいいか分からない」と感じるのは自然なこと
症状がある程度落ち着いてくると、「そろそろ復職を考えないと」という気持ちと、「でも何から手をつければいいのか分からない」という停滞が同時にやってきます。これは特別なことではなく、休職という期間そのものが、本人にとって次に何をすべきかの手がかりが少ない時間だからです。会社に連絡する前に、まず自分一人で整理できることから始めれば、相談のときに状況を具体的に伝えられるようになります。
休業中、職場から連絡が届くこともありますが、無理に対応する必要はありません。
「休業中も、職場からお見舞いの連絡が届くかもしれません。そうした連絡はありがたいものですが、一方で、体調の安定しない中で文面を読んだり返信をしたりすることは、心身の負担になりがちなので、しばらく返信ができない旨を伝えて、連絡を控えるのもよいでしょう。」
こころの耳「職場復帰のガイダンス(働く方・ご家族の方へ)2 職場との連絡、相談等」
会社に相談する前に、一人で整理できる5つの手順
復職準備の5ステップ
- 生活リズムを記録する起床・就寝・食事の時刻を数日分メモし、睡眠と食事のリズムが整っているかを自分で確認します。
- 日中の活動を段階的に増やす通勤を想定した外出や、決まった時間に机に向かう練習など、就業を想定した日中活動を少しずつ増やします。
- 休職につながった要因を振り返る業務量、対人関係、体調の変化など、休職前に何が重なっていたかを書き出し、同じ負荷がかかったときの対応を考えます。
- 主治医に復職の見通しを相談する記録した生活リズムと日中活動の様子を主治医に伝え、復職のタイミングについて意見をもらいます。
- 会社の復職基準・試し出勤制度を確認する人事労務や産業保健スタッフに、自社の復職判断の基準や試し出勤制度の有無を確認します。
ステップ1・2:生活リズムと日中活動
最初の二つの手順は、こころの耳が示す「リハビリ期間」の過ごし方と重なります。
「リハビリ期間の過ごし方として重要な点は主に3つあり、ⅰ.睡眠・食事のリズムの確立、ⅱ.就業を想定した日中活動、およびⅲ.これらの継続性、ということになります。」
こころの耳 Q&A「職場復帰の際のリハビリにはどのような点に注意したらいいですか?」
日中活動のなかでも、通勤を想定した外出(通勤訓練)は後回しにされがちですが、欠かせない準備です。
「通勤訓練などとも呼ばれていますが、この準備なしに復帰して消耗してしまう方も珍しくありません。」
こころの耳 Q&A「職場復帰の際のリハビリにはどのような点に注意したらいいですか?」
どの程度まで回復していれば復職の準備が整っていると言えるかについても、具体的な目安が示されています。
「そのため、適正な睡眠覚醒リズムが確保されており、昼間の眠気がなく、注意力・集中力が持続し、安全に通勤ができ、療養中に業務に類似した行為を遂行したとしても疲労が翌日まで残ることのない程度まで体力が回復していることが必要です。」
こころの耳 Q&A「職場復帰に際して主治医と産業医の間で意見の相違があるときはどうしたらよいですか?」
ステップ3:休職に至った要因を振り返る
生活リズムが整ってきたら、休職前に何が重なっていたかを一度書き出してみます。業務量が急に増えた時期だったのか、対人関係で負荷があったのか、体調の変化に気づかず無理をしていたのか。振り返りは自分を責めるためのものではなく、復職後に同じ負荷がかかったとき、どう対応するかを事前に考えるための材料です。この振り返りは、次のステップで主治医に伝える内容にもなります。
ステップ4:主治医に復職の見通しを相談する
生活リズムの記録と日中活動の様子がある程度まとまったら、主治医に伝えて復職の見通しを相談します。自分の判断だけで復職を進めることには、こころの耳も注意を促しています。
「しかし、焦って職場復帰を試みても、症状が再び悪化して、結果的に再休業に至ったりしてしまうと、そのまま休業を継続していた場合よりも働けない期間が長くなってしまうこともあります。」
こころの耳「職場復帰のガイダンス(働く方・ご家族の方へ)1 メンタルヘルス不調の治療と休業」
このサイトは心の状態について診断を行うものではありません。気分の落ち込みや不安、不眠などの症状が今どの段階にあるかは、主治医や精神科・心療内科に相談してください。公的な相談窓口として、厚生労働省「こころの耳」の相談窓口一覧も利用できます。
ステップ5:会社の復職基準・試し出勤制度を確認する
主治医の見通しが見えてきたら、会社側の制度を確認します。復職の判断基準や試し出勤制度の有無・運用は会社によって異なるため、人事労務や産業保健スタッフへの確認が必要です。ここまでの4つの手順を済ませてから会社に連絡すると、「生活リズムはこの状態まで整い、主治医からはこう言われている」と具体的に伝えられ、会社側も判断しやすくなります。
焦って自分だけの判断で進めないほうがいい理由
5つの手順を自分なりに進められるようになると、「もう大丈夫そう」と感じて早めに動きたくなることがあります。しかし、復職のタイミングを自己判断だけで決めてしまうと、無理が重なって症状が再び悪化し、休業が長引く可能性があります。手順3〜5で振り返りと主治医への相談、会社の基準確認を挟むのは、この遠回りを避けるためです。
今日からできることのチェックリスト
復職準備チェックリスト
- 起床・就寝・食事の時刻を数日分記録する
- 通勤を想定した外出や決まった時間の作業を少しずつ試す
- 休職前の業務量・対人関係・体調の変化を書き出す
- 記録をもとに主治医へ復職の見通しを相談する
- やってはいけないこと:記録や主治医への相談なしに、自分一人で復職日を決めてしまう
- やってはいけないこと:体調が整わないまま、会社からの連絡にすぐ返信しようと無理をする
一人で抱え込みそうなときの相談先
このサイトは、企業が従業員全体のために導入する社外カウンセリング窓口について情報を発信しており、個々の相談を直接お受けする窓口ではありません。すでに勤務先に社外の相談窓口が用意されている場合は、復職の準備段階でも使ってよい取り組みです。社内外に相談先がない、またはまず公的な窓口を使いたい場合は、厚生労働省「こころの耳」の相談窓口一覧から、電話・SNS・メールでの相談先を確認できます。
次にすること
- まず生活リズムを記録する今日から数日分、起床・就寝・食事の時刻をメモします。
- 記録がまとまったら主治医に相談する自己判断で復職日を決める前に、見通しを確認します。
復職の準備は、会社に連絡する前の段階から始められます。順番通りに進めれば、相談のときに「今の自分の状態」を具体的に伝えられるようになります。
よくあるご質問
復職の準備はいつから始めればいいですか?
日常生活を送る上で症状による支障がほとんどなくなった段階が目安です。憂うつな気分や強い不安・緊張、不眠などの苦痛な症状が強い時期はまだ療養に専念する期間と考え、どちらの時期にあるかは主治医に相談するとよいとされています。
症状が軽くなったら自分の判断で復職してもいいですか?
自己判断で職場復帰を進めると、症状が再び悪化して再休業に至り、結果的に休業を継続した場合より働けない期間が長くなることがあるとされています。復職のタイミングは主治医に相談しながら図ることが大切です。
試し出勤制度は誰でも使えますか?
試し出勤制度の有無や運用は会社によって異なります。基本的にはリハビリ期間を経て業務遂行の準備が整った上で利用するものなので、上司や人事労務、産業保健スタッフに確認する必要があります。
休職中、会社からの連絡にはすぐ返信すべきですか?
体調が安定しない中で無理に返信する必要はありません。しばらく返信ができない旨を伝えて連絡を控えることも一つの対応で、お礼などは復調してからで構わないとされています。
会社の外に、話せる場所を持っておく
United World Counseling では、仕事や職場の悩みについて、会社と利害関係のない相手に相談できます。まとまっていない状態のままで構いません。
仕事の悩みについて相談する出典
- 相談窓口案内|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 原文
本記事は一般的な説明です。個別の事案における法令の適用および解釈については、所轄の労働基準監督署、産業保健総合支援センター、または専門家にご確認ください。
